2022年9月11日 礼拝説教 「何を求めますか?」

聖書: 列王記 第1 3章5~15節

Ⅰ.はじめに

 今日は9月11日。2001年にアメリカで起きた同時多発テロを忘れることができません。犯人らに乗っ取られた飛行機がニューヨークの高層ビルなどにつっこみ、ビルが崩れ、約3000人の人々が死んだと言われています。予想もしない事件や事故、災害や戦争、コロナなどの疫病が次々と起こる今の世界で、私たちは何を大切にし、何を求めるのでしょうか?

 今日この教会は「敬愛会」で、ご高齢の方々に感謝し、神様の祝福をお祈りする日、大人と子ども一緒の礼拝の日です。この教会では、幼稚園や小学生から高校生のために「教会学校」が日曜日朝9時から開かれています。今日から「教会学校」では「イスラエル王国の繁栄と衰退」という新しいテーマです。小学校では学年や学期ごとに目標があると思いますが、教会学校のこのテーマの目標は「神の前にへりくだり、みことばに従って歩む」ということです。神様の前にへりくだることと、みことばに従って歩むことは、深くつながっているでしょう。「へりくだる」とはどういうことでしょうか?辞書やスマホで調べればことばの意味はわかると思いますが、「頭でわかること」と、「自分がそうなること」は違うのではないでしょうか。私たちは、どうしたら「へりくだる」ことができるのか、そのためには何を神様に求めたらよいのか、ともに神様のことば、『聖書』に聴きましょう。

Ⅱ.みことば

1.ソロモン王が求めたもの(列王記 第1 3章5~15節)

 この世界も宇宙も、植物や動物も、私たち人間も、神様によって造られました。神様は私たち人間を信頼して、この世界のお世話をまかせました。神様は、私たち人間と親しくお話しし、私たちが神様と共に歩むことを喜び、ご自分に従うように一つのルールを定めました。しかし、最初の人はそれを破り、神様との親しいつながりは破れてしまったのです。神様はそれでも、私たち人間を愛して、私たちとの親しいつながりを回復するための救い主を送ると約束されました。神様はまず、アブラハムという人を選び、その子孫から救い主が生まれると約束されたのです。アブラハムの子孫はイスラエルという国になり、王様が立てられるようになりました。今日の『聖書』の場面に出てくるソロモンという人はイスラエルの3代目の王様、時は約3000年前です。先日はイギリスのエリザベス女王が召され、新国王が立てられました。神様は新国王のソロモンに夢の中で何を言われたか?5節を読みましょう。「あなたに何を与えようか。願いなさい」と神様に言われたら、あなたは何をお願いしますか?お金ですか。健康ですか。えらくなり、有名になることですか。そのどれもよいことですが、ほんとうにそれが一番大切でしょうか。

 ソロモンは何を求めたのか?9節を読みましょう。それは「善悪を判断し、聞き分ける心」です。ソロモンはこの時、自分は小さく、知識も知恵もないことを認めています(7節)。また、自分の国の人々を「あなたの民」(8節)と呼び、国民は神様のものだと認めて、王として身勝手なことをせず、正しい判断ができるための知恵の心を求めました。つまり、ソロモンは神様とのつながりを求めたのです。今の私たちにとっては、神様が約2000年前に約束通りに送ってくださったイエス様によって与えられる神様とのつながりです。イエス様は神様に背いた私たちのために十字架で死んでくださり、墓に葬られ、3日目に復活されることによって、イエス様を救い主と信じるすべての人が罪を赦され、神様の子ども、神様の家族とされ、神様との親しいつながりを回復される道を備えてくださったのです。

 神様とのつながり、判断する知恵を求めたソロモンに、神様はそれを与えてくださいました。12節をお読みします。そして、彼が求めなかった長生きすること、お金、敵に勝つことなども与えられたのです。イエス様を信じ、神様の国を第1に求めるなら、神様との親しいつながりが与えられるだけでなく、それに添えて、お金や必要なものも豊かに与えられるとイエス様も約束されました(マタイ6:33)。ソロモンは、その実例の一人です。 

2.ある事件とソロモンの判断(列王記 第1 3章16~28節)

 そんなソロモン王の所に、二人の女の人がやって来て「判断してください」とお願いしました。そのうちの一人は言いました。「私はこの人と同じ家に住んでいます。私が赤ちゃんを産んで3日後に、この人も赤ちゃんを産みました。ところが、夜の間にこの人の赤ちゃんは死んでしまいました。するとこの人は、私の赤ちゃんを取り上げて自分のそばに寝かせ、死んだ赤ちゃんを私のそばに置いたのです。朝起きて赤ちゃんを見ると、私が産んだ赤ちゃんではありませんでした。」(16~21節)。もう一人の女の人は「いいえ。生きているのが私の子です」と言い、二人で一人の赤ちゃんを取り合い、王様の前で言い争ったのです(22節)。もし、あなたがソロモンだったらどう判断しますか?ソロモンはどうしたか?25節をお読みします。「子どもを半分に切って分けなさい」と言ったのです。女の人はどうしたか。一人は、「この子を切らないでください。あの女に渡してください」と言いました。もう一人は「この子を半分に切って、だれのものにもしないでください」と言ったのです(26節)。それを見ていたソロモン王は、「『この子を切らず、あの女に渡してください』と言った女が本当の母親だ」と言ったのでした(27節)。

 神様がソロモン王に与えてくださった判断する心、知恵は、このように表面だけを見ないで、人の心や気持ちを見抜き、神様が喜ばれることは何かを判断する知恵だったのです。

Ⅲ.むすび

 神様は今の私たちにも「あなたに何を与えようか。願え」と言ってくださいます。あなたは今、何がほしいですか?神様に何を求めますか?ソロモンのように、自分にはわからないことやできないことがあることを神様の前で認め、へりくだり、神様の助けや神様からの知恵を求めましょう。イエス様を救い主と信じているなら、神様との永遠のつながりが与えられ、神様の国の国民とされています。ならば、神様に喜ばれることが何かを求め、それが自分にとっても喜びとなることを、今週経験しましょう。

(記:牧師 小暮智久)