2025年2月2日 礼拝説教 「神の家族への入籍」

聖書: ローマ人への手紙 8章15~17節

Ⅰ.はじめに

 イエス様を信じた人に与えられた贈り物とは何でしょうか?それがどんなにすばらしいものなのか、味わい続け、経験し続けるのが、クリスチャン生活、教会生活のすばらしさだと思います。イエス様を信じた人に与えられた贈り物。たとえばそれは、礼拝で毎週告白する「使徒信条」の終りの方にある「聖徒の交わり、罪の赦し、からだのよみがえり、永遠のいのち」などです。例えば、聖徒の交わり。イエス様を信じることによって、同じイエス様を信じる他の人々とのつながり、主にある交わりを贈り物として与えられました。例えば、罪のゆるし。過去、現在、将来のすべての罪がイエス様の十字架と復活によって赦されました。例えば、からだのよみがえり。イエス様が死からよみがえられたように、イエス様を信じる者もイエス様が再び来られる時にからだのよみがえりが約束されています。例えば、永遠のいのち。神様との永遠のつながりであり、いま、ここで、神様とつながっており、死んだのちも神様とつながっているいのちです。さらには、「使徒信条」にはありませんが、神様の子どもとされたことも、イエス様を信じた人に与えられたすばらしい贈り物です。3月までの2024年度の教会の主題は「私たちは神の愛する子ども」で、神様の子どもとされたすばらしさに注目し、このことを思い起こし、味わい、実感したいと願っています。この朝は、神様の子どもとされたことのすばらしさを、先ほどお聴きしたみことばから共に味わいましょう

Ⅱ.みことば

1.神の子どもとその保証(ローマ人への手紙 8章15~16節)

 この「ローマ人への手紙」は西暦57年ごろ、パウロによって、ローマに住むイエス様を信じる人々にあてて書かれました。ですから、「あなたがたは」と言われる時の「あなたがた」とは直接にはローマ教会の人々ですが、今の時代にも、イエス様を信じている人々に神様が語っておられることばとして読むことができます。

 15節をお読みします。「人を再び恐怖に陥れる、奴隷の霊」とは何でしょうか?私たちにとって一番恐ろしい「死」をもっておどす悪魔のことではないでしょうか。イエス様は、ご自身の死によって、私たちを死の恐怖から解放してくださいました(ヘブル2:14~15)。イエス様を信じることによって私たちに与えられたのは「子とする御霊」(15節)です。言わば、私たちは、悪魔と死の恐怖の奴隷であった家から、神様の家族へと、養子縁組の手続きがなされ、神の子どもとして入籍したのです。この背景には、古代ローマの養子縁組に関する法律があります。養子にされた人は過去の家族でのすべての権利を失い、新しい家族の正式な子どもとしてすべての権利を与えられました。文字通りにその人は新しい父親を得たのです。15節後半に「私たちは『アバ、父』と叫びます」とある通りです。神様を、新しい父として「アバ」(お父さん、パパなど親しみを込めた呼び方)と呼べるのです。

 また、古代ローマでは、養子を迎えた父親が死んで、養子と他の子どもとの相続争いが生じた場合、養子の保証人という人がその養子の正統性を保証しました。16節をお読みします。私たちにとっての保証人は聖霊ご自身なのです。何と安心であり、すばらしいことではないでしょうか!

2.神の子どもの相続財産(ローマ人への手紙 8章17節)

 17節をお読みします。古代ローマでは、また、現代の法律でも同じかもしれませんが、養子であってもその人は新しい父親の財産の相続者となりました。その人は他の子どもたちとともに共同相続人としての地位を獲得したのです。私の場合、3年前に両親が相次いで召され、相続の手続きをしました。私は弟と2人兄弟ですが、ほかに子どもがいないことを証明し、たしかにこの父親の子どもであることを証明して相続がなされたのでした。

 あなたは、たしかに神様の子どもとされていますか?ならば、あなたは、神様の相続人でもあります。神様の相続人とされた人が相続する財産とは何でしょうか?それは、神様が持っておられるもののすべてです。それは、言い尽くせないほどすばらしい財産ですが、たとえばそれは、天国です。天国のすばらしさは、ヨハネの黙示録の最後の方にもありますが、そのすべてはあなたのものです。教会図書貸出コーナーにある『天国に行く前に読むと楽しくなる不思議なフシギな天国ガイド』などもぜひお読みください。天国のすばらしさの第1はイエス様がそこにおられること、そして、先に召された、愛する人々と再び会えることでしょう。それらもあなたの相続財産です。たとえばそれは、「御霊の実」と呼ばれるものもそう言えるかもしれません。ガラテヤ5:22~23をお読みします。これらはイエス様が持っておられ、私たちはイエス様と共にこれを受け継ぐのです。私たちは神様の養子とされ、イエス様は神様の御子として、言わば、私たちの一番上のお兄様となられました。ですから、私たちは「キリストとともに共同相続人」です。イエス様がもっておられるものを私たちも受け継ぐのです。イエス様が十字架で苦難を受けられたように、私たちもイエス様と共に苦しみ、イエス様と共に苦労し、イエス様のために苦労します。イエス様が死なれて3日目に復活されたように、私たちもイエス様の再臨のときに(それはいつであるかわかりませんが、イエス様は必ず再び来られます)、からだをもって復活するのです。また、私たちがイエス様と似た者に変えられていくことも相続財産のひとつではないでしょうか。Ⅰヨハネ3:2をお読みします。イエス様が神の子どもたちの一番上のお兄様であり、私たちは同じ神様の子どもとして、それぞれの個性はそのままでありながら、イエス様に似た者になるのです。

Ⅲ.むすび

 あなたは、イエス様を救い主キリストとして信じ、受け入れましたか?そうであるならば、あなたは神様の家族のひとりとして入籍したことになります。その保証は聖霊なる神様ご自身です。神様の子どもとされたことが確かならば、あなたは神様の財産を受け継ぐ相続者とされています。その相続財産のすばらしさを思い巡らし、味わいつつ、今週も過ごしましょう。

(記:牧師 小暮智久)