2020年12月20日 礼拝説教「救い主を伝えよう」

聖書: ルカの福音書 2章8~20節

Ⅰ.はじめに

 この冬、夕方の南西の空に明るい星が2つ見えます。明るい方が木星、少し暗い方が輪のある土星です。この2つの星は互いに近づいていて、明日から明後日にかけて大接近します。それは、満月の直径の半分以下の距離で、星が2つではなく1つに見えるほどかもしれません。木星と土星がこれほど近づいて見えるのは、400年ぶりとも800年ぶりとも言われ、次は60年後だそうです。『聖書』にイエス様が生まれた時、東の国の博士たちがユダヤの王の誕生を示す明るい星を見たと書かれています。その星が何だったか、いくつか説がありますが、その一つは今年のような木星と土星の大接近、そこに宵の明星の金星も近づいたのではないかという説です。寒いですが、今回の木星と土星の接近を見ながら約2020年前の救い主が生まれた出来事を思いめぐらすのもよいのではないでしょうか。先ほどお聴きした『聖書』のすぐ前の部分に書かれているように(2:1~7)、救い主イエス様が生まれたのは本当の出来事です。その知らせが最初に伝えられたのは誰でしょうか?

Ⅱ.みことば

1.知らせを最初に聞いた人々(ルカの福音書 2章8~14節)

 その夜、「羊の群れの夜番をしていた」(8節)人々がいました。そう、羊飼いたちです。彼らは人々がお仕事を休んで礼拝する日にも羊たちの世話で休めず礼拝に行けないので、人々から低く見られていたそうです。その夜、何が起きたのでしょうか?「主の使い」(9節)が羊飼いたちの所に来て、主の栄光が照らしたので、彼らはとても恐れました(9節)。羊飼いたちが主の使いから聞いたのはどんなことでしょうか?それは、①大きな喜びの知らせです(10節)。王様や指導者にではなく、目立たず、さげすまれていた羊飼いたちに、大きな喜びの知らせ、民全体へのとても大切な知らせが最初に伝えられたのです。②救い主が生まれたという知らせです(11節)。しかも「あなたがたのための救い主」、私たちひとりひとりのための救い主が生まれたのです。③救い主のしるしは飼い葉おけに寝ていることです(12節)。馬や牛の餌を入れる飼い葉おけは、羊飼いにはなじみがあったのではないでしょうか。救い主がそのような所にいるなら、今このままで、着替えなくても気楽に会いに行けると思ったことでしょう。羊飼いたちはつづいて天の軍勢の大合唱、神様への讃美を聞きます(13~14節)。それは、「神様には栄光、地上では平和がみこころにかなう人々にあるように」という讃美でした。「みこころにかなう人々」とは、今日生まれた救い主を受け入れて神様と心が合わされた人々と言えるのではないでしょうか。

2.知らせを聞いた人々はどうしたか?(ルカの福音書 2章15~20節)

 この大切なニュースを聞いた羊飼いたちはどうしたでしょうか?①聞いた出来事を見に行こうと話し合いました(15節)。無視するのではなく、夜が明けてからでもなく、すぐに行こうと思ったのです。羊の群れはどうしましょうか。羊たちも一緒に連れて行ったのではないかと考える人もいます。②飼い葉おけの赤ちゃんを捜し当てました(16節)。苦労したかもしれませんが、目印を頼りに救い主イエス様に会うことができたのでした。③聞いたことを人々に知らせました(17節)。羊飼いたちは赤ちゃんに会って満足しただけでなく、主の使いから聞いたことをマリアやヨセフ、そこにいた人々に知らせたのでした。この赤ちゃんこそが私たちひとりひとりのための救い主で、これはすべての人のための喜びの知らせだと羊飼いたちが伝えたことは、まさに神様がしてくださったことの「証し」「証言」です。④神様をあがめ、讃美しながら帰って行きました(20節)。なぜか?見聞きしたことがすべて御使いの言った通りだったからです。羊飼いたちは帰ってからも、救い主イエス様が生まれたこと、これはすべての人のための喜びの知らせだと、友だちや家族に証しし、伝えたのではないでしょうか。

Ⅲ.むすび

 羊飼いたちのように目立たず無名かもしれない今の私たちに、クリスマスの出来事として告げられていることは何でしょうか?11節を読みましょう。それは、私たちのために救い主イエス様がお生まれになったという、大きな喜びの知らせです。それをただ知るだけでなく、羊飼いたちのように会いに行き、イエス様を自分の生活に、救い主としてお迎えして、毎日をイエス様と共に過ごし、生涯ずっと教会のメンバーとして歩み通しましょう。

 ヨセフやマリアたちがイエス様について御使いが言ったことを聞けたのは、羊飼いたちがそれを伝えたからです。今の私たちがイエス様と出会えたのも、自分に伝えてくれた人がいたからではないでしょうか。今度は私たちも、羊飼いたちのようにイエス様のことを、神様から聞いたことを、『聖書』の言葉を身近な人々に伝えましょう。

(記:牧師 小暮智久)